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パンクロックな【YT Music】で、その歴史を振り返ろう!⑤

time 2019/10/25

パンクロックな【YT Music】で、その歴史を振り返ろう!⑤

「Rise above! We’re gonna rise above!」ブラック・フラッグ編

 

「拝啓ブラック・フラッグ殿」

我が気紛れな気球〈メロンタ・タウタ号〉は、二十一世紀という「時代の難民」を乗せて、果てしなく拡がる空を当て所もなく徘徊している。

船にはいずこからともなく乗客が乗り込んで来て、気づけばどこかへ去っていく。このことは前にも述べただろうか?

それにしても、消えた人たちはどこへ行ったんだろう?存在そのものが消えてしまった……?

と言うのも、ぼくたちは最近その話ばかりしているんだ。ぼくたちというのは、イタチのような顔をした物識りなクソ野郎ルーディットと、一等航海士をずっと前にクビになっていた(本人は長めの休暇をもらっただけと言っているが)飲んだくれの老人ジョン・ダニエル・ウォーカーのことだ。

ぼくらは夕飯時になるといつも船内にあるバーラウンジ〈ピンヘッド〉に顔を揃える。それから真っ赤に燃え落ちるような空を見ながら、酔っぱらうまで酒を飲むんだ。

夕空というものを空の上から見たことがあるかね。渡り鳥のようにそれを見たことがあるかね。それは時としてとても美しいものだが、また時としてとても残酷で悲しいものに見えたりする。それも圧倒的な無力感に呆然としてしまう、途方に暮れるような悲しさなんだ。

そんな時に、J・D・ウォーカーがポツリとこんなことを言った。「俺たちはいったい、どこに向かっている?どこから来て、どこへ帰る?おお……!この胸がしめつけられるような気持ちは何だ……!」

酒の飲み過ぎでひどく声がくぐもっていたが、何故かその言葉は宙にとどまってぼくたちの心に残った。

「ひょっとすると」と、J・D・ウォーカー老人は髭もじゃの口の奥から言葉を絞り出した。「……うん、そうさ。ひょっとするとな、この船はいわゆる『方舟』なんじゃないかと思うことがあるのさ……」

ぼくは飲んだくれの老人のこの言葉に思わず笑い声を上げた。それはその場の沈んだ空気を何とかしたいという気持ちが、若干あったからかもしれない。

「おいおい、『方舟』だって!じゃあ。あなたがノアかね?それともルーディットがノアだとでも?いささか飲み過ぎたよ、ご老人」

ぼくはわざと明るくそう言って、琥珀色のスコッチを勢いよく喉に流し込んだ。ぼくはいかなる時でも「明るい心」を保つことこそが、人の持つ強さだと思っている。いつでもそうできるわけではないけれど、できればそうありたいと思っているんだ。

ルーディットは終始、黙ったままだった。本物のイタチよりも言葉をしゃべらないくらいだった。……

パンクロックもまた一時のムーヴメントが終幕すると、その航路を「明るさ」ではない方向に向けた。しかし、アメリカのパンクロックは違った。元来がラモーンズがいた国なんだから、それはそうなんだろう。

ブラック・フラッグは、アメリカン・パンクロックバンドだ。

もっともアメリカにはパティ・スミスやテレビジョン、デッド・ケネディーズやジャームスなどがいたのだが、アメリカ臭の強さではブラック・フラッグなんだろう。「Rise above」や「Six pack」、「TV Party」といったエネルギッシュな名曲たち。

明るくどこかポジティブでさえあり、挑戦的でもある。シンガロング(sing along)スタイルもパワフルでいい。そもそも音楽とは楽しいものだ。楽しんで作って楽しんで演奏した方が得というものだ。

ここ二十一世紀では、その楽しみ方そのものが変わってしまったのだ。中身よりも表面ばかり、内容より体裁ばかり。かつての音楽は地上から永遠に消えてしまった……!

本当にそうなのかもしれないし、あるいはそうではないのかもしれない。

さて、我が気紛れな気球〈メロンタ・タウタ号〉は、またイングランドに向けて舵を切ったようだ。そこではパンクロックをより進化させた「激しい音」が鳴っているはずだ。

もしもまた会うことがあるのなら、その日までお元気で。

敬具

空中遊民  ビリー・ブウ三世

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